Polyphony Digital - ポリフォニー・デジタル Polyphony Digital - ポリフォニー・デジタル

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People 社員インタビュー

サウンド開発エンジニア

Sound Development Engineer

STAFF INTERVIEW

大学、大学院を通じて音響工学を学ぶ傍ら、ソフトウェア開発のスキルを習得。2021年ポリフォニー・デジタル入社。エンジニアチームで効果音の実装やツール制作を担当。

  • 各国を転々とした少年時代

    千葉県の柏市で生まれて、5歳の時から父親の仕事の都合で海外を転々としました。パプアニューギニア、イタリア、インド、ウガンダで過ごしたのですが、日本のアニメや漫画の情報が知りたくて、知らず知らずのうちにコンピュータに触れ、インターネットをのぞく子ども時代でした。

    中学生になると音楽が好きになり、グリーン・デイやシンプル・プランをよく聴いていました。ギターを買ってもらって弾きだしたのも、この頃です。友達とバンドを組んでアヴリル・ラヴィーンの曲などを演りました。インドでは音楽の授業が吹奏楽だったのですが、クラシックの要素を学べたことはいい経験でした。私はトランペットだったのですが、360度音に囲まれて、その音が次第に調和していく快感は、吹奏楽の奏者ならではだと思います。

    高校は日本で通いたいと思い、15歳のときにひとりで帰国して寮のある高校に入りました。でもギター漬けの日々は変わらなくて、将来もギタリストになりたいと考えていたら、担任から「九州大学に『芸術工学部音響設計学科』という学科(現芸術工学部芸術工学科音響設計コース)がある」と教えられました。調べてみると確かに面白くて、音響について芸術と工学の双方から学べる。「ここへ進もう」と一念発起して、因数分解もわからぬレベルから受験勉強を始め、なんとか合格しました。

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  • プログラミングは大学4年時から

    大学では音響理論などの音の工学的な側面に取り組むと同時に、音楽理論、音楽史などの音の芸術的な側面についても学びました。聴能形成(音と音響物理指標を感覚的に結びつけるトレーニング)を受けることができたことも貴重な経験になっています。相変わらずギターにも熱中していて、軽音楽部の部長も務めました。

    大学4年生になり、卒業研究を始めるというタイミングで、必要になったスキルがプログラミングです。大学の授業で軽く触れた程度で、当時のプログラミングスキルはほぼ無かったといえます。この頃、研究室の先輩の間でPythonを使うのが流行っていたので、自分もPythonを覚えることにしました。Pythonが研究のためのデータ分析以外の用途でも使えるような汎用的なプログラミング言語であることもあり、ソフトウェア開発全般に興味を持ち始めました。ちょうどその頃、大学院への進学も決めました。

    大学院時代は音響の研究を続ける傍ら、ソフトウェア開発を学びたくて福岡にあるIT企業の長期インターン生になりました。業務では機械学習やWebアプリケーション、スマホアプリなどの開発に携わりました。ここではプログラマーとしての基本的な仕事の仕方を教わり、とても良い経験をさせてもらったと思っています。

  • 学生コンペでの入賞

    大学院1年生のとき、ソフトウェアエンジニアとして企業から内定をもらったのですが、長く取り組んできた音響と距離が出来てしまうことにモヤモヤしたものを感じていました。そんなとき、AES(Audio Engineering Society)という国際学会の役員を務める指導教官から「学生コンペに出てみないか」という誘いを受けます。「ここで成果を出せば、今からでも音響系の仕事に就けるかも」。そう思って参加を決意しました。

    作ろうと決めたのはDAW(Digital Audio Workstation)に使うVSTプラグインです。ギターを繋ぐとコンサートホールのような音場が作れるのですが、私がこだわったのはヘッドトラッキング。スマホのジャイロセンサーを利用して、演者の動きに対してギターアンプの定位が追従するよう工夫しました。ホールの響きの長さからくる処理負荷にも悩みました。海外の論文を読み込んで負荷を抑えるアルゴリズムを書きました。

    始めた動機こそ不純でしたが、いつしか「ここで失敗したら自分のキャリアは終わり」と考えるほど真剣になっていました。絶対無理と思ったC++をイチから学び、なんとか使えるようになったほどです。努力の甲斐あってか、コンペでは銀賞を獲ることができました。

  • 会社案内を見て「俺のことだ!」

    話が前後するのですが、内定先で悩んでいるとき、サウンドプログラマーという仕事があることを知りました。これこそ自分の仕事なんじゃないか。そう思ってネットを検索しているときに見つけたのが、ポリフォニー・デジタル(PDI)です。「メッセージ」のページで山内が「ポリフォニー・デジタルは『デザインとテクノロジー』の両輪で駆動される」と書いていて、「俺のことだ!」と感じたことを覚えています。

    でも当時は、サウンドプログラマーとしての自分にはなにかが足りないと思っていました。そこでAESのコンペに取り組んだわけですが、晴れて成果を上げられたことが応募の自信となり、2021年4月に入社しました。

    入社後はサウンド制作チームに所属し、ゲーム内の「音の反射」に取り組んでいます。『グランツーリスモSPORT』までは正確な反射のシミュレーションができなかったのですが、PlayStation®️5からは可能になりました。今後はその拡張を考えています。 また、サウンドデザイナーが使うツールの制作にも取り組んでいます。

    ゲームの臨場感ももっと高めたいと思います。反射をよりリアルにしたり、歓声などの効果音も今以上にバリエーションを生み出せるようにしたい。

    PDIのサウンドプログラマーは、プログラマーとしての技能以外も必要になってくる点が面白いと思います。サウンドデザイナーと議論できるように、音に対する感性も培わなければいけない。プログラマー的な仕事と、アーティスト的な仕事、どちらもできる点は、まさに自分の理想が叶った思いです。

  • 音に強いこだわりがある人に来てほしい

    ある程度コードを書くスキルはもちろん必要ですが、「音に対する強いこだわり」があるかどうかが大切だと思います。音に何かしらの強い興味を持っている人、コードを書きながらも「こういう音が鳴ってたらいいな」とイメージしながら書ける人がほしいですね。

    PDIで書かれるコードはレベルが高いと思います。必ずしも、最初からそのレベルで書ける必要はないとは思いますが、よりよいコードを書くために貪欲にコードを読み書きして学び続ける姿勢は必要不可欠だと思います。

    今や音の分野でもVRやARへの応用はホットなキーワードになっています。よくグラフィックスの分野では写実的なCGに対して「フォトリアル」といわれていますが、サウンドの方も「フォノリアル」とでもいいましょうか、現実の音場のような、臨場感のある音作りをしたい。それを一緒に目指してくれる人に来てほしいですね。

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