Polyphony Digital - ポリフォニー・デジタル Polyphony Digital - ポリフォニー・デジタル

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People 社員インタビュー

車両シミュレーション開発エンジニア

Car Simulation Development Engineer

STAFF INTERVIEW

国内電機メーカーの研究所を経て、1994年にポリフォニー・デジタルの前身であるインタラクティブエンタテインメント内『モータートゥーン・グランプリ』開発チームに参加。以降、『モータートゥーン・グランプリ』シリーズ、『グランツーリスモ』シリーズ、『ツーリスト・トロフィー』の車両シミュレーション開発を担当。

  • 双子の弟とつくった三次元迷路

    福岡の出身で双子の弟がいます。小学生のころ電子工作が趣味でしたが、中学一年生のとき部品を買いに行った町の電子部品店にPC-8001が展示されていたのがきっかけでした。電子工作は本に載っている回路をハンダ付けして再現することはできても、自力で回路を考案設計できるまでにはなりませんでした。

    一方、コンピュータは命令語の組み合わせで動作を決めるところが自分たちに合っていると直観しました。家でMZ-80K2Eを買ってもらい、弟とふたりで雑誌に載っていたゲームのコードを打ち込んだり、それを改造したりして遊ぶうちにコンピュータの動きかたを理解していきました。自分たちでも三次元迷路などをつくりました。

  • 雑誌『Oh! X』でのライターの仕事

    東京の大学に進学してX68000を買ってもらいました。大学1年の後半にC言語キットを入手しレイトレーシングのソフトを書いて『Oh! X』という雑誌に持ち込みました。いま振り返っても思い切った行動を取ったものだと思います。

    持ち込みしたソフトはボツになったのですが、編集部から毎月お題を与えられて単発の記事を書くというライターの仕事をもらえました。分野は様々で、物理シミュレーションの記事もありましたが、ポリゴンレンダラーや、アンチエイリアスレンダリングなどグラフィックス系のテーマが多かったです。

    こういったプログラムを制作実演する記事を通して「読者のプログラマーを育てよう」という雑誌のカラーがあって、「そのプログラムをつくるための考え方」を紹介するようにしていました。

  • レースゲームとの出会い

    大学生後半になってAmigaの3DCGレーシングゲーム『Indianapolis 500: the simulation』に出会い、衝撃を受けます。トラックボールを使ってハンドル操作をするのですが、現在のステアリングホイールコントローラでは当たり前のフォースフィードバックなんて当然存在しないのに、なんともいえず本当に運転している感覚になるのです。アンダーステアが出ているときに手応えが抜けているような錯覚すら覚えました。

    同じくAmigaで遊んだF1シミュレーション『World Circuit』や、アーケードの『Hard Drivin'』は今でも自分にとってのベンチマークとなる作品です。当時使っていたX68000は2Dを扱うのは得意でも、3Dを動かすにはソフトウェアで(CPUが)フレームバッファに描画するしかありませんでした。

    刺激を受けて自分でも似たような3DCGゲームをX68000上で再現したいと考えたのですが、ハードウェアのパフォーマンス的に難しいと思い諦めていました。

  • ワークステーションでしかできなかったはずの3DCGが、家庭用ゲーム機で実現する

    就職するならばCGの仕事がしたいと大学の教務課に希望を出し、先輩が在籍している企業の研究所を紹介してもらいました。最初の2年間は数値計算をする部署にいて有限要素法を使って物体の熱伝導のシミュレーションなどを行う分野に触れました。その後CG部門に異動することができて、初めてシリコングラフィックスのワークステーションを触って感動しました。それこそ環境マッピングなど、何千万円もする機器を使うとこんなことができるのか、と。

    就職後も『Oh! X』の連載は続けていたのですが、あるとき「すごい学生が現れた」という話を聞き、それが横内でした。彼は私が諦めていたX68000上での3DCGリアルタイムレンダリングエンジンの開発をやってのけてしまいました。1993年から彼とふたりで「ハードコア3Dエクスタシー」という連載を始めます。Side Aは私が車両シミュレーションを書いて、Side Bでは横内が3DCGのことを書くというダブル連載です。

    この連載を読んでいた山内が編集部に連絡をしてきて、横内と一緒に編集部で初めて話をしました。なにかすごい人に会ったという印象をすぐに持ち、山内の見据えている未来に引き込まれたのを覚えています。

    後日、『モータートゥーン・グランプリ』の開発現場に見学に行ったのですが、そこで3DCGが家庭用ゲーム機で動いているのを見て「これを使って面白いことがしたい!」と心を奪われました。何千万円もするワークステーションでしかできないと思っていたことが、家庭用ゲーム機でできるようになるのです。開発に参加したのは終盤に入ってからですが、『モータートゥーン・グランプリ』のクルマ(キャラクター)の挙動を書きました。

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  • 「モータートゥーンR」で誕生した新しい挙動

    すぐに『モータートゥーン・グランプリ2』の開発が始まりました。『モータートゥーン・グランプリ』シリーズは、山内の「ファンタジーな世界観だけれど、シミュレーション志向でつくる」という方針があり、『モータートゥーン・グランプリ2』のクリア後にアンロックされる「モータートゥーンR」というモードでそれが結実します。

    それ以前の挙動は、ハンドルを切れば切った方向に曲がるという実体験をベースにした動きでした。それを「モータートゥーンR」では、そもそもコーナリング中にどういう物理現象が起きているかを意識して根本的にアルゴリズムを見直しました。これがうまくいくかどうかは賭けだったのですが、結果として右にハンドルを切ったからといって右に曲がるとは限らず、状況に応じてドリフトするようになりました。

    『モータートゥーン・グランプリ 2』本編まではドリフトは専用のモードにして挙動を切り替えて実現していましたが、そこから大きく進歩してひとつのモードの中で普遍的なクルマの動きを総合的に再現する道筋が見えた瞬間でした。

  • そして『グランツーリスモ』へ

    ここに至るにはいくつかの偶然も重なっていて、たとえば『モータートゥーン・グランプリ2』にはホバークラフトのキャラクターがいたことにインスピレーションを受けています。設定上は宇宙人の乗る宇宙船でファンタジーな世界観ゆえの存在なのですが、それが直系の祖先になったわけです。

    「モータートゥーンR」の挙動が形になったことで、平行して開発していた『グランツーリスモ』もこの方針で進められる見通しが立ちました。100車種以上の収録やそのチューニングを予定していた『グランツーリスモ』において実車をすべてサーキットで走行させてインプレッションベースで挙動を当てはめていくのは不可能だったでしょう。

    カタログベースの車両の仕様をひとつずつ積み上げていくと、その結果としてそれぞれの車両らしいふるまいを大筋で再現できてしまう、というのが「モータートゥーンR」から最新の「グランツーリスモ」シリーズにおける車両挙動開発の考え方です。

    細かいブラッシュアップや、特殊な車両への個別対応はその都度行っていますが、基本的にやっていることはずっと同じです。究極的には、カタログ数値を入力しただけで挙動が再現できて、個別の車両の事情にコミットしないで済むような仕組みをつくることを目指しています。とはいえ、「ビジョン グランツーリスモ」シリーズの車両などで、そもそも駆動形式がこれまでにないタイプであったケースもあり、個別対応はゼロにはできませんね。

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  • ポリフォニー・デジタルの特徴

    理想を追求しようという土壌があります。ゲームも商品ですので発売日があり、締め切りもあるのですが、できる限り時間をかけてよいものをつくろうとします。挙動を開発するには「根拠」がとても重要です。

    カタログスペック通りにデータを入れて想定通りに動かなかった場合、つじつまをあわせるために経験則ベースのギミックを後付けしてしまいたくなるものですが、私たちはそれを可能な限り避けるようにしています。

    もちろん、あまりにコストが高い計算をモデル化することは例外的にありますが、それにしても根拠は必要です。これは車両シミュレーション以外の分野においても、この会社全体に通じるものだと考えています。

    かといって決して「縛り」のように強制されるものではなく、「クルマとはなにか」を追い求める美意識のようなものだと感じています。

  • 車両シミュレーション開発エンジニアの募集について

    クルマや運転が好きで、たくさんのクルマの違いを理解して探求できる人に来てほしいです。もちろんそれをプログラムに落としこむスキルは必要になりますが、自動車メーカーから届く資料がいつも完全とは限らないので、資料が足りない部分を推定したり、メーカーの開発者の皆様とコミュニケーションを取ってすり合せたりすることもあります。長く続けるほど底なしに広くなる分野なので、知らないことが出てきたら知りたいと思い調べる姿勢も大切です。

    また、ゲーム特有のデバイスとしてステアリングホイールコントローラがあります。実車であれば、ハンドルを切った際にタイヤのゴムがねじれて反力がすぐに発生しますが、ゲームはUSBを介した通信やシミュレーション頻度の影響で遅延がありステアリングフィールを損ないます。こういった分野はまだまだ発展途中なので、共に研究し、これからの「グランツーリスモ」の未来をつくっていける仲間を探しています。

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